【 由美と美弥子 Mikiko 】

第七十五話
失態を嬲る言葉が、その口から浴びせられると思っていた。しかし、美弥子の尿を顎に受けながら、女教師は無言だった。
美弥子を見つめたままだった。黙ったまま、顔を後ろに下げた。尿の奔流を顔面に浴びる位置に。
「あ」
美弥子は、女教師の顔に降り掛かる尿の方向を変えようとした。懸命に尻を動かそうとした。
しかし、女教師の両腕はがっしりと美弥子の骨盤を押さえつけ、それを許さなかった。止まらない尿は、女教師の額まで噴き上げていた。
女教師は、噴き上がる奔流の向こうから、真っ直ぐに自分を見ている。痙攣する下腹部のせいで、尿は細かく上下に振れ、万遍なく女教師の顔を洗った。
尿は、女教師の目にも直接降りそそいでいた。女教師は、瞼を閉じようとしなかった。尿が直接目を洗っていた。
見開いた目の中で、小さな瞳が美弥子を見つめていた。その顔面を、絶え間なく尿が伝い落ちた。湖の底から、たった今浮かび上がって来た水霊のようだった。
美弥子は、蛇のような小さな瞳から目を逸らすことが出来なかった。
もう、この人から逃れることは出来ない……。悲哀のような諦めが、美弥子の肌を流れた。不思議と安らかな感情だった。もう、何も我慢しなくていい……。
諦めは、甘美な水蜜のように美弥子の肌を溶け流れた。
女教師を、切ない目で見つめる自分に気付いた。尿は漸く勢いを失い、女教師の目から鼻、そして口までが水上に浮かび上がった。
現れた口は、口角が上がっていた。美弥子の表情を堪能し、満足している顔だった。
美弥子の瞳を視線に捉えたまま、女教師はゆっくりと顔を俯けた。その唇が、再び陰核に触れる。美弥子の尻は、それだけで蠢き出した。
自分の身体は、むずかっている。子供のように頑是無く、欲しいと言っているのだ。快楽を。
女教師が、陰核をゆっくりと舐め始める。
「あ……、あぁ」
第七十六話
美弥子の尻は、堪えきれずに迫り上がっていった。女教師は唇を離した。
「どうだい、美弥子。判っただろ。陰核は舐めるもんじゃないってことが。どうして欲しいか、言ってごらん。言わないと、やってあげないよ」
美弥子の頬を涙が伝った。涙を流しながら、美弥子は尚も尻を迫り上げた。
「ほら、どうしたの?どうしてほしいの」
「吸って……」
「え?聞こえない」
「吸って、ください。お、お願い……」
女教師は会心の笑みを浮かべると、唇に陰核を含んだ。
「あ、あ、あ」
渇望の声を抑えることが出来なかった。餌を咥える親鳥を前にした、雛のようだった。女教師の頬が、ゆっくりと窄まる。美弥子の頚が、がくんと後ろに倒れた。
しかし、求めていた強い吸引はなかった。美弥子の頚は元の位置に帰った。女教師は、楽しむように美弥子を見上げていた。
まだ焦らす気なのだろうか。もう自分は屈服しているというのに。十分だろう。この、悲痛なほど期待に歪んだ顔を見れば。まだ言えというのか……。女教師は、じっとしたまま見上げている。
「吸って……」
吸い上げられた。頚が仰け反る。泣き顔になっていた。更なる悦楽を期待して歪んだ顔だった。しかしその顔がすぐに、願いが叶えられない悲嘆の表情に変わった。
また吸引が止まったのだ。
「先生……。お願い……」
美弥子は頚をもたげた。女教師は、美弥子を見つめたまま動かない。
つづく