【 面接 改 しょうた】
第三話
「最後に何か質問したいことはあるかな?」
「あのぉ、こんなこと聞くのは失礼なのかもしれませんが……」
「はは、気になることはなんでも聞いていいよ」
「はい、では、失礼します。採否については、いつ頃ご連絡をいただけるのでしょうか?」
「うん、普通は三日後と決めているけど……僕はね、君を気に入ったから、検討する必要がない。だから、即、採用するよ」
「え!」
まさか、即決してくれるとは思いもよらなかったので、驚きでどう反応してよいのか戸惑った。
「もちろん、君が考えたいというならば、待つけど……でも、一週間が限度だな。なにしろ人手が足りなくて、みな、大変なんだ」
「いえ、いぇ、とんでもないです。わたしみたいな右も左もわからないようなものを気に入っていただき、とても嬉しいです。わたし決めました。頑張りますのでどうか宜しくお願いします」
「よしっ、決まりだ! だったら、事は早い方がいい。早速、戦力になってもらいたいから、今週の土曜日は時間大丈夫?その時に仕事の概要を教えるから。あと細かいことは、来週から同僚たちが君に教えていくから」
土曜日、彼氏とデートの約束をしていたが、今はそんなこといってられない。ちゃんと彼に理由を話せばわかってくれるはずだ。
「はい、大丈夫です!」
「よし、いい返事だ!三か月後、見事に正社員となれるようお互いに頑張ろう」
「はい」
第四話
来てみてよかったと思った。物腰の柔らかい喋り方や、安らぎを与えてくれる優しい笑顔、社長は好人物に違いない。それに、いい男。社長を思い浮かべると胸がキュンと締め付けられる。えっ、恋?これから就職しようといる会社の社長、しかも、まだ一度しかあっていないのに。
それに、わたしには二年付き合っている彼氏がいるのに。彼のことをが脳裏をよぎったが、すぐにすべてが社長に満たされてしまう。まだ、社長のことは何も知らないのに。やっぱり、ときめいている。早く、土曜日が来ないかな、と思っている。まるで、付き合ったばかりの彼氏との初デートを楽しみにしているときのように。
まずいなぁ、これじゃあ……と思った時、携帯電話が鳴った。着信音から彼からのメールであることがわかる。そういえば、まだ彼に土曜日の件を連絡していない。
携帯を開き、メールを見た。土曜日のことが書いてある。彼の家でDVDを見ようだって。久しぶりに、遠出がしたいって言っていたのに、最近はわたしのリクエストに応えてくれない。まぁ、普段、全国を飛び回っている広告代理店の営業マンだから、休みの日くらいは家でのんびりと寛ぎたいという気持ちもわからないわけではなけれど――。
それでも、たまには都会の喧騒から離れて、自然を満喫してみたい。マンネリしたデートに先の読めるお決まりのパターンのセックスにはうんざり。そう感じながら、彼に土曜日のデートを断るメールを送信した。
スグに返事がきた。励ましのメールだと思ったら、怒りの言葉がつづられていた。”楽しみにしていたのに(怒)”だって。まぁ、二週間ぶりだからわからないでもないけど、それにしても、あいつは自分のことしか考えていない。彼女が就職できるか、どうかの瀬戸際にいるのに、相手のことを思いやる気持ちがあれば、応援メッセージのひとつでも送ってくるのが普通だろう。はっきりいってむかつく。そろそろ潮時かなぁ。
つづく