【 面接 改 しょうた】
第五話
土曜日、研修の日、約束していた時間の午後一時より十五分早くついた。
「あぁ、よく来たね。じゃあ、早速だけど、君の席を用意したから、まずは、君の席に行こう」
社長の後につづき、事務所にはいった。他の社員は誰もいない。
「さぁ、ここが松崎さんのブースだ。あ、そうそう、周りのブースを見るとわかると思うけど、個人のブースの中に関しては、好きなものをおいても飾っても構わないからね。もちろん、恋人の写真でもいいんだよ」
「え、こ、恋人ですか……ははっ」
彼の顔を脳裏に浮かべ、苦笑いをしてしまう。
「んっ、いや、冗談はさておき、これからは残業で家にいるよりも会社にいる時間が多い月もあるかもしれない。だからね、ここは、松崎さんがもっともリラックスできるブースにしてほしいと思っているんだ」
わたしのそんな表情に気付いたのだろう、社長は笑顔から眉を顰めた真顔で言った。ちゃんと社員を一人の人間として見てくれている。そんな思いやりが嬉しくて、満面の笑顔で返事をした。
「はは、じゃあ、パソコンを立ち上げると、デスクトップに、業務マニュアルというフォルダのショートカットがあるから、とりあえず、それに目を通しながら、仕事
の流れをつかんでほしい」
「はい」
「よし、いい返事だ。じゃあ、僕はちょっと僕の部屋で仕事をしているから、もし、わからないことがあったら、すぐに呼んでくれ……あ、そうそう内線番号はそこにリストがあるから」
「はい、わかりました」
第六話
ふーん、なるほど、ただ、待っているだけじゃなく、自分からアプローチしていかなければならないのね。面白そう。だいたいの業務の流れは掴んだ。画面の時計を見ると、そろそろ三時だ。ここに来てから二時間ほどたっている。集中していると時間が過ぎるのも早いものだ。
「ふわぁぁぁっ」
と、あくびをしながら、背を伸ばした時、ドアの開く音がし慌てて、モニターに視線を戻した。社長が近づいてくる気配がする。あぁ、まずい……もしかしたら社長に見られたかも、とドキドキしているうちに社長の足音が背後で止まった。
「どうだい? だいたい流れはわかったかな?」
「はい、大まかなことはわかりました……」
横に立った社長に向いて答えた。
「うん、いいねぇ。僕が思ったとおり呑み込みが早い。これならすぐにでも即戦力となってくれそうだ」
「ははっ、でも、まだ教わることがたくさんあると思いますし……」
「そうだね、教えることは山ほどある……なにしろ、君には……」
「はい?」
「いや、なんでもない……それよりも、そろそろ休憩にしようか」
「はい」
「よし、じゃあ、僕の部屋に来なさい」
「はい」
わたしは社長の後につづいて、社長室にはいった。
「今、いれたてのコーヒーを用意するから、君はそこに座っていて」
「えっ、でもぉ、あのぉ、わたしが」
「いいから、いいから、今日は特別だ。だから、君は遠慮しないないで座っていていいから」
つづく