【 由美と美弥子 Mikiko 】

第百六十一話
キャプテンは口を開け、幼児のように笑った。キャプテンの肛門から突き上がった大便は、女教師の腹を指して斜めに伸びている。陽炎のような湯気が立っていた。
千切れようとしなかった。女教師の腹まで届くかと思われたとき、ようやく重力に屈し、大便は折れた。折れた大便は、ひととき男根に纏わった。男根の弟のように。
男根に触れた大便は、振り分けられるように、キャプテンの太腿を転がり落ちた。太腿に、大便が擦過した褐色の筋が引かれた。
「でっかいのが転がったよ。さあ、そろそろイキたいだろ?」
キャプテンが、尿溜まりに漬けた頬をうなずかせた。目は宙を泳いでいる。口が開いていた。
「ほら、始まるよ」
女教師の尻の動きが速まった。
「ほらほらほら」
キャプテンが、舌を吐き出した。ピンク色の舌が、尿溜まりでピチピチと跳ねた。陸に打ち上げられた小魚のようだった。
「ほらほらほらほらほらほらほら」
女教師は、上体まで煽らせ始めた。全身で腰を送り出している。まるでピストン機関だった。
「あがあがあがあがあがあがあが」
キャプテンの瞳が、上を向いていた。瞳と下瞼の間に白眼が拡がっていた。瞳は、白い海を泳いでいた。
「がっ」
キャプテンの舌が、虚空を一直線に伸びた。女教師は動きを止め、塑像のように固まった。
キャプテンは、両目を大きく見開いていた。白眼の海で、瞳が揺れていた。蛙の卵のようだった。瞳が、滑るように上瞼に隠れた。力を失った舌が、唇の脇に垂れた。
第百六十二話
キャプテンの膝が次第に折れ、それに伴い尻が下りてゆく。男根が徐々にその姿を現す。窓からの光を返して、太棹のように輝きながら。亀頭まで抜けた瞬間、男根は跳ね上がり、女教師の鳩尾を打った。
膣液の飛沫が、スローモーションのように散った。女教師の股間から鳩尾にかけて張り付いた男根は、白々と湯気を上げていた。
支えを失ったキャプテンの身体が、床に潰れた。女教師も、その場にがっくりと膝を落とした。背中を丸め、荒い息をしている。片手を、キャプテンの尻に突いていた。もう一方の手が、男根を握った。
「はっ」
気合いと共に、キャプテンの尻に突いた手を突き放した。同時に、男根を抜き上げるように引きあげ、下半身を起こした。
起ち上がったとき、身体が大きく揺らいだ。男根を掴み、中腰で立ったその姿は、人ではない別の生き物のようだった。
女教師は、握った男根の先を、美弥子の籠もる物入れに向けた。歩み始めた。男根を進みたい方向に向け、それを引くことで歩んでいるかのようだった。
パーテーションまで歩むと、女教師はサイドバーに掴まった。膝が震えていた。俯せに潰れたままの生徒会長を見下ろす。
「どいつもこいつも、勝手な子たちだよ。ひとりで先にイッちまって」
女教師は、俯せの生徒会長の背を跨いだ。そのまま腰を落とした。
「おお臭さ」
女教師の目の前には、生徒会長が盛り上げた大便が、蟻塚のように聳えていた。
「どんだけ溜めてたんだか、こいつは。こんな臭い嗅いでたら、あたしもしたくなっちまったよ。美弥子。美弥子、返事は?」
「はい……」
「起きてるね。よおく見てるんだよ、そこで。あたしが、臭い大便をひり出すところを」
つづく